「親が亡くなり、実家を相続したけれど誰も住む予定がない」
「空き家のままにしているが、固定資産税だけ払い続けている」
「名義変更(相続登記)って必ずやらないとダメ?」
私は不動産業界に35年携わってきた宅建士です。相続した実家の相談は、この仕事をしていて一番多く受ける悩みのひとつです。
この記事では、相続した実家を売るまでの手続き・税金・売り方の選択肢を、順を追って解説します。
📌 この記事でわかること
- 相続した実家を放置してはいけない理由
- 売る前に必要な手続き(相続登記・遺産分割)
- 実家を売る3つの方法と選び方
- 知らないと損する税金の特例
- 事情のある実家(ゴミ屋敷・再建築不可など)の売り方
相続した実家、放置してはいけない3つの理由
① 空き家は傷むのが早く、資産価値が下がり続ける
人が住まなくなった家は、換気されず湿気がこもるため傷みが加速します。売却を先延ばしにするほど、売れる金額は下がっていきます。
② 固定資産税・管理の負担が続く
誰も住まなくても固定資産税は毎年かかります。さらに「特定空家」に指定されると、住宅用地の税優遇が外れて固定資産税が大幅に上がる可能性があります。
③ 管理責任は相続人にある
台風で屋根が飛んで隣家を傷つけた、庭木が越境した——こうしたトラブルの責任は所有者(相続人)が負います。
⚠️ 実家がゴミ屋敷状態になっている場合も放置は危険です。詳しくは 実家がゴミ屋敷…そのまま売却するには? をご覧ください。
売る前に必要な手続き
① 相続登記(名義変更)——2024年4月から義務化
亡くなった親の名義のままでは家は売れません。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由がない場合10万円以下の過料の対象になります。
手続きは司法書士に依頼するのが一般的です(自分でもできますが、書類集めに手間がかかります)。
② 遺産分割協議——共有名義は避けるのが鉄則
相続人が複数いる場合、誰が実家を取得するかを遺産分割協議で決めます。ここで安易に「とりあえず兄弟の共有名義」にすると、後で売るときに全員の同意が必要になり、身動きが取れなくなるケースが非常に多いです。
👉 すでに共有名義になってしまっている方は 【宅建士が解説】共有名義の不動産を処分する方法 をご覧ください。
💡 ソボちゃんのひとこと
35年この業界にいて痛感するのは、「実家の共有名義」が一番こじれやすいということ。売却して現金で分ける(換価分割)方が、結果的に円満に終わることが多いです。
実家を売る3つの方法
方法① 仲介で売る
不動産会社に買主を探してもらう方法。市場価格に近い金額で売れるのがメリットですが、売れるまで数ヶ月〜1年かかることもあります。状態の良い実家・立地の良い実家向きです。
方法② 買取業者に直接売る
業者が直接買い取るため最短数日〜数週間で現金化できます。価格は市場の50〜70%程度に下がりますが、古い家・残置物が多い家・遠方の実家でも手間なく処分できます。
方法③ 解体して更地で売る
建物が古すぎる場合の選択肢ですが、解体費用(木造でも100万円以上が目安)が先にかかり、住宅用地の税優遇も外れます。解体前に必ず査定を取ってから判断してください。
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 価格 | 市場価格に近い | 市場価格の50〜70% |
| 期間 | 数ヶ月〜1年 | 最短数日〜数週間 |
| 残置物・古さ | 片付け・修繕が必要な場合も | そのままでOKが多い |
| 向いている実家 | 状態・立地が良い | 古い・遠方・事情あり |
👉 状態の良い実家なら、まず複数社の査定額を比べるところから。不動産一括査定サイトの選び方 で詳しく解説しています。
知らないと損する税金の話
売却益には譲渡所得税がかかる
実家を売って利益(譲渡所得)が出ると税金がかかります。ただし相続した実家には、負担を大きく減らせる特例があります。
① 空き家の3,000万円特別控除
一定の要件(1981年5月31日以前に建築された旧耐震の家であること、相続から売却まで空き家であること等)を満たすと、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます(2026年時点。適用期限や要件は国税庁のページで必ず最新を確認してください)。
② 取得費加算の特例
相続税を払った人が相続開始から3年10ヶ月以内に売却すると、払った相続税の一部を経費にできます。つまり「売るなら早い方が税金上も有利」なケースが多いのです。
⚠️ 特例には細かい要件があります。適用できるかどうかは、売却前に税務署または税理士に必ず確認してください。
「事情のある実家」はどうする?
実家の状態によっては、通常の仲介では売りにくいことがあります。それぞれ専門の解説記事を用意しています。
- 🏚️ ゴミ屋敷状態になっている → 片付け不要でそのまま売却する方法
- 💀 孤独死があった → 孤独死があった家を売る方法
- 🚧 再建築不可だった → 再建築不可物件を売る方法
- 📝 共有名義になっている → 共有名義の不動産を処分する方法
👉 こうした物件を買い取る業者の見分け方は 訳あり物件の買取業者の選び方 にまとめています。
よくある質問
相続登記が終わっていなくても査定はできますか?
査定だけなら可能です。ただし売買契約・引き渡しには相続登記が必要なので、査定と並行して司法書士に相談するのがおすすめです。
遠方に住んでいて実家に行けません。売れますか?
売れます。買取業者なら写真やオンラインでのやり取りだけで進められる場合もあります。仲介でも、鍵を預けて対応してもらうことが可能です。
兄弟で意見が割れています。どうすれば?
まずは「売って現金で分ける」案をベースに話し合うのがおすすめです。それでもまとまらない場合、自分の持分だけを売る方法もあります(詳しくは共有名義の記事へ)。
家財道具(残置物)は処分しないとダメ?
仲介で売る場合は基本的に空にする必要があります。買取業者なら残置物ごと引き取ってくれるところが多いです。
まとめ
- 相続した実家の放置はリスクとコストだけが増える。早めに方針を決める
- 売るには相続登記が必須(2024年から義務化・3年以内)
- 状態が良ければ仲介、古い・遠方・事情ありなら買取が現実的
- 税金の特例(3,000万円控除・取得費加算)は期限があるので早めの売却が有利
実家の処分は、気持ちの整理も含めて大変な仕事です。まずは「いくらで売れるのか」を知ることから、一歩ずつ進めていきましょう。
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