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家を売りに出したのに、
内見の連絡が来ないな



ポータルサイトには
載っているね



でも問い合わせがあった
様子もないわ
そんなとき、ある言葉が頭をよぎります。
「囲い込みをされているのではないか」
私は不動産業界で35年働いてきました。
宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者の資格を持ち、今はマンション管理の仕事をしています。
そして2025年、自分自身が売主として京都のワンルームマンションを売却しました。
専任媒介契約を結び、売り出してから成約するまでの記録が手元にあります。
その経験からお伝えしたいことは、ひとつです。
囲い込みを疑うのは、順番としては3番目でいいということ。
疑う順番を間違えると、失うのは時間です。
私自身、850万円で売り出して内見はゼロでした。780万円に下げて1件。そして700万円で成約しました。囲い込みではなく、価格だったのです。
この記事の結論
- 囲い込みとは、他社からの問い合わせを断って自社で買主を見つけようとする行為です
- 2025年1月から、売主が自分でレインズの状況を確認できるようになりました
- ただし私の場合は、確認に必要な「登録証明書」を受け取っていませんでした
- 証明書がなくても、ポータルサイトの掲載状況などから確認する方法はあります
- 売れない理由の大半は、囲い込みではなく価格です。私も850万円から700万円まで下げて売れました


囲い込みとは何か
他社からの問い合わせを断る行為
囲い込みとは、売却を任された不動産会社が、他社からの物件紹介の依頼を正当な理由なく断る行為です。
「その物件は商談中です」と伝えて他社を遠ざけ、自社で買主を見つけるまで待つ。
買主候補が減るので、当然ながら売れるまでの時間は長くなります。
なぜ起きるのか。手数料が約2倍になるからです
理由は、仲介手数料の仕組みにあります。
売主から依頼を受けた会社が、買主も自社で見つけた場合、売主と買主の両方から手数料を受け取れます。



これを両手仲介と呼びます
たとえば3,000万円の物件なら、手数料の上限は片方につき約96万円。
両手なら約192万円です。
同じ1件の取引で、報酬が2倍になるのです。
私は営業職ではないので断言はできません。
ただ、業界の内側にいる人間として言えば、両手仲介は仲介会社にとって非常に魅力的です。
他社との交渉も不要で、話も進めやすい。
それ自体が悪ではありません。



問題は、その魅力が売主の利益と
食い違う場面があることです
売主は一日も早く、より多くの候補に見てもらいたい。
会社は自社で買主を見つけたい。
この向きの違いが、囲い込みの温床になります。
2025年1月から、売主が自分で確認できるようになりました
登録証明書のQRコードで、3つの状況が見られます
2025年1月1日、宅地建物取引業法の施行規則が改正されました。
専任媒介・専属専任媒介で預かった物件について、不動産会社はレインズ(不動産流通機構)への登録と取引状況の更新を適切に行う義務を負うことになりました。
そして売主にとって重要なのが、この点です。
2025年1月4日以降に発行される登録証明書には二次元コード(QRコード)が記載され、売主専用の画面から自分の物件の状況を確認できるようになりました。
確認できるのは、次のような区分です。
| ステータス | 意味 |
|---|---|
| 公開中 | 他社に紹介できる、正常な状態です |
| 書面による購入申込みあり | 買付が入っている状態です |
| 売主都合で一時紹介停止中 | 売主の希望で紹介を止めている状態です |
注目すべきは3つめです。
自分が止めてほしいと言っていないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっていたら、説明を求めるべき状況といえます。
登録内容が事実と異なる場合、宅地建物取引業法にもとづく指示処分などの対象になり得ます。(2026年8月時点の情報です)
私の場合は、その証明書を受け取っていませんでした



ここからは私の実体験です
私が結んだのは専任媒介契約で、締結は2025年3月22日。
改正後の契約です。
契約書の約款には、こう書かれていました。
「前号の登録をしたときは、遅滞なく、指定流通機構が発行した登録を証する書面を甲(売主)に対して交付すること」


つまり、証明書を渡すことは契約書に明記された義務でした。
ところが、後からやりとりを見返しても、私はその書面を受け取っていません。
悪意があったとは思っていません。
価格を決めるときにはレインズの成約事例を印刷して見せてくれましたし、担当者の対応そのものは誠実でした。
私自身も「専任なら登録して当然」と思い込み、証明書のことを気にもしていませんでした。



宅建士である私でさえ
そうだったのです
だから、これから売る方にはこうお伝えします。「登録証明書をください」と、自分から言われるのをおすすめします。
証明書がなくてもできる、3つの確認方法
1. ポータルサイトで自分の物件を検索する
最も簡単で、私も実際にやった方法です。
SUUMOやアットホームなどで、自分の物件が本当に掲載されているかを見てください。
見るべきは掲載の有無だけではありません。
写真の枚数、間取り図の有無、紹介文の熱量。
他の売り出し中の物件と比べて明らかに情報が少なければ、売る気の温度が見えてきます。
2. 他社から案内が入っているかを確認する
専任媒介でも、まともな会社は他社の顧客にもきちんと物件を紹介します。
担当者からの報告のなかに「他社が案内しました」という言葉が出てくるかどうか。
ここは囲い込みを判断する、わかりやすい材料になります。
3. 業務報告の頻度を守っているか
専任媒介では2週間に1回以上、専属専任媒介では1週間に1回以上、売主へ業務の処理状況を報告する義務があります。
契約書にも記載されているはずです。
報告が途絶えている会社は、囲い込み以前の問題として動いていない可能性があります。
私の場合。850万円から700万円になるまでの全記録
ここで、私自身の売却記録を公開します。
京都市内にある築37年、専有面積16.95平方メートルのワンルームマンションです。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年3月22日 | 専任媒介契約を締結。850万円で売り出し |
| 4月18日 | 担当者から「反響がありません」と報告。値下げの提案を受ける |
| 同日 | 780万円に価格変更 |
| 4月26日 | 他社が案内。成約には至らず |
| 5月10日 | 別の物件を見に来た客に、条件の似た私の部屋も案内してもらう |
| 同日 | 内見時に「700万円なら買付を入れる」との申し出。了承 |
| — | 700万円で成約 |
4月18日、「反響がありません」
売り出しから約1か月。
担当者から連絡がありました。
「反響がありません。そろそろゴールデンウィークに入りますし、他の物件も価格が下がってきています。チャレンジ価格をやめて、下げてみてはどうでしょうか」
850万円というのは、相場より少し高めの、いわゆるチャレンジ価格でした。
私はその提案を受け入れ、780万円に変更しました。
4月26日、他社が案内してくれました
価格を下げて8日後、他社の担当者がお客様を連れて内見に来ました。
結果として成約には至りませんでしたが、私にとっては重要な情報でした。
他社が案内できているということは、囲い込まれていないということです。
レインズにきちんと登録され、他社からも紹介できる状態だった何よりの証拠でした。
5月10日、700万円で買付
決め手になったのは、担当者の営業でした。
別の物件を見に来たお客様に、価格帯もマンションのシリーズも似ている私の部屋を「ついでに」案内してくれたのです。
その場で「700万円であれば買付を入れます」という話になり、私は了承しました。
正直に言えば、私は600万円で売れれば十分だと思っていました。だから700万円という結果には満足しています。
この売却で私が学んだことは、はっきりしています。
内見が来なかった理由は囲い込みではなく、価格でした。
そして最後に効いたのは、担当者が動いてくれたことでした。
担当者に値下げを切り出すときの言い方
私の場合は担当者から提案がありましたが、何も言ってこない担当者もいます。自分から切り出すのは気が引ける、という方も多いでしょう。
そんなときは、いきなり「下げたい」と言わなくて構いません。こう聞いてみてください。
「他社からの反響状況も含めて、今の価格が市場と合っているか教えてください」
この聞き方なら、担当者も答えやすくなります。値下げを決断する前に、まず市場の状況を聞く。この順番なら、感情ではなく事実で判断できます。
そのうえで「では、いくらまで下げれば動きそうですか」と聞けば、プロの肌感覚を引き出せます。私が850万円から780万円へ下げたときも、担当者の「ゴールデンウィーク前に他の物件も下がってきている」という市場の説明が判断材料になりました。
売れない理由の大半は、囲い込みではありません
価格が市場と合っていない
35年この業界にいて、そして自分で売ってみて、はっきり言えます。
反響がない理由の第一は、価格が高いことです。
担当者は価格を決めるとき、レインズで同じマンションの過去の成約価格を調べて見せてくれました。レインズとは、不動産会社だけが利用できる物件情報のデータベースです。実際にいくらで売れたかという記録が蓄積されています。
プロは感覚ではなく、実際に売れた金額を根拠に価格を提案します。だからこそ、担当者からの「そろそろ下げましょう」という提案には、耳を傾ける価値があります。
値段を下げれば、売れるものは売れます。
私の場合も、850万円では内見ゼロ。
780万円で1件。
700万円で成約でした。
焦っていない売主ほど、高値から始める
マンション管理の仕事をしていると、所有者が部屋を売り出す場面を何度も見ます。
★賃貸にしていた部屋が空室になったとき。
★ご自身がそこを離れるとき。
★そろそろ財産を整理しようと考えたとき。
こうしたケースで、時間に余裕がある方ほど、最初は少し高めの価格から始める傾向があります。
それ自体は悪い戦略ではありません。
私もそうしました。
ただし、そもそもの価格設定が市場と大きくずれていると、内見そのものが入りません。
実際、半年以上売れずに放置されている部屋もあります。
安くて良い物件は、投資家が即決します
世の中には、古い戸建てやワンルームを買って運用する投資家がいます。
彼らが見ているのは、どれだけ安く手に入れられるかです。
安くて条件の良い物件は、驚くほど早く買い手がつきます。
裏を返せば、反響がないということは、その価格では「安くて良い」と判断されていないということです。
築年数が古いマンションの場合、管理費と修繕積立金の負担も買い手の判断材料になります。
私が売った部屋も、管理費6,800円に修繕積立金6,780円で、毎月13,680円かかっていました。
修繕積立金は築年数とともに上がっていきます。
この点は修繕積立金が足りないマンションはどうなる?で詳しく解説しています。
業者選びで本当に見るべきこと
リフォームを勧める会社の裏側
私が査定を依頼したなかに、大手の不動産会社がありました。
その会社の提案は「古い箇所をリフォームしてから、高い価格で売り出しましょう」というもので、リフォーム工事の見積書まで添えられていました。
金額は数百万円。
しかも相場よりかなり割高でした。
私はその時点で、この会社に頼むのをやめました。
念のため申し添えますが、この戦略自体が悪いわけではありません。
その会社は不動産投資の顧客や資金力のある顧客を抱えていました。
物件の価値を上げて高く売るのは、理にかなった方法です。
売買価格が上がれば、仲介手数料も上がります。
ただ、費用をかけたくない売主、今の状態のまま買ってくれる人を探してほしい売主には向きません。私は後者でした。
査定の詳しい話はマンション査定で損しない5つのコツに書いています。
安い物件でも、喜んで動いてくれる会社を選ぶ
私が選んだのは、地域に密着した会社でした。
数百万円台の物件でも、ありがたく仲介に入ってくれる会社です。
結果として、その担当者は別のお客様に私の部屋を「ついでに」案内してくれました。
広告の出し方と、担当者のやる気。
この2つも、売れ方を確実に左右します。
複数の会社の提案を比べてから決めたい方は、不動産一括査定サイトの選び方と、私が実際に使ったマンションナビの体験談もあわせてご覧ください。
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よくある質問
Q. 囲い込みは違法ですか?
A. 囲い込みそのものを直接禁じる条文はありませんが、正当な理由なく他社の紹介を断ることは、宅地建物取引業法が定める義務に反する可能性があります。
2025年1月の改正以降、レインズの登録内容が実態と異なる場合は指示処分などの対象になり得ます。(2026年8月時点)
Q. 一般媒介にすれば囲い込みは防げますか?
A. 複数社に依頼できるため、囲い込みは起きにくくなります。
ただし一般媒介はレインズへの登録義務がなく、業務報告の義務もありません。
窓口が増えるぶん、売主自身の管理の手間も増えます。
どちらが良いかは、物件の売りやすさとご自身が使える時間によります。
Q. 値下げはいつ判断すべきですか?
A. 一概には言えませんが、私の場合は売り出しから約1か月、内見ゼロの時点で判断しました。
担当者から市場の動きを聞いたうえでの決断です。大切なのは、値下げの目安を売り出す前に自分の中で決めておくことです。
「いくらまでなら下げてよいか」を決めておけば、慌てずに済みます。
まとめ
売れないとき、業者を疑いたくなる気持ちはよくわかります。
私も内見が入らない時期は、自分でポータルサイトを検索して確認しました。
でも、確認する順番があります。
- 1番目:価格。市場と合っているか。似た物件がいくらで売れているか
- 2番目:広告と担当者。掲載されているか。動いてくれているか
- 3番目:囲い込み。登録証明書のQRコード、他社からの案内の有無
私の場合は、850万円から700万円まで下げて売れました。囲い込みではなく、価格でした。



そして最後にお伝えしたいことが
あります
売り出す前に、自分の中で「いくらなら納得できるか」を決めておいてください。
私は600万円で売れれば十分だと思っていました。だから700万円という結果を、落ち着いて受け入れられたのです。
この記事が、いま売り出し中で不安を抱えている方の役に立てば嬉しいです。










