修繕積立金を値上げするんだって
古いマンションなのにどうして上がっていくんだろ?
厳しい話だけどそれはみんなの話し合いで決まるんだよ
詳しく解説するね
- マンションの修繕積立金の値上げの話が出てきている
- マンションを買うときに聞いた話とちがう
- 毎月のお金が増えるのはしんどい
- なぜ値上げされるのかわからない
そんなお悩みを抱えていませんか?
マンションはお部屋の数と同じ数の持ち主(区分所有者)がいます。
100室のマンションならば100人の区分所有者で一つの建物を維持管理しています。
100人いれば100人なりの価値観と考え方があるので意見が分かれたり、対立することもあります。
最終的には「決議」として多数決で決めていくのがマンションのルールです。
修繕積立金の金額も同じ決め方です。
まずはしっかりと総会で話し合うことが必要です。
記事の結論
- 修繕積立金はみんなの話し合いで決まる
- 修繕積立金は長期修繕計画の見直しで変わるものである
- 修繕積立金は管理費とは別でみんなの貯蓄額である
- 修繕積立金をあげるにはきちんとした理由がある
詳しく解説するね
修繕積立金とは
マンションは部屋の数だけ区分所有者がいます。
その全員で一つの建物(マンション)を維持管理していきます。
戸建住宅を買った場合もそうですが、建物は買ったら終わりではありません。
定期的に外壁塗装をし直したり、ベランダの防水工事や屋根のメンテナンスをしないと家は傷んでいきます。
それと同じこと「大規模修繕工事」をマンションでもします。
ただ戸建住宅の場合は所有者が自分一人なので修繕する・しないや、いつするかも自分で決められます。
でもマンションの場合は区分所有者の多数決(総会での決議)で修繕の周期やどんな工事をするか、しないのかを決めていくことになるのです。
その大規模修繕工事に向けてお金を積み立てていくのが「修繕積立金」なのです。
管理費とは違う修繕積立金
分譲マンションのオーナー(区分所有者)になると毎月管理費と修繕積立金を合算した額が引き落とされていると思います。
合算されていることが多いのでごちゃまぜにして考えてしまわれる方も多いのですが、管理費と修繕積立金は全く違います。
管理費は建物の維持管理に必要な1年分の予算を立ててそれを12等分(1カ月分)にしたお金(経費)です。
例)共用分の電気代、エレベーターのメンテナンス代、保守点検費用など・・・
修繕積立金は〇年後の大規模修繕工事に向けて工事費用を積み立てているみんなのお金(貯金)です。
修繕積立金の計算方法
修繕積立金の計算方法は長期修繕計画書を作成することで計算できます。
ただ長期修繕計画書を作成していないマンションがとても多いです。
また一度作っていても5年以上見直しをしていないと、現実の修繕箇所や実際にかかる工事費用とのギャップが出てきてあまり信頼できる数字にはなりません。
「うちのマンションはもう何十年も値上がりしないのよ~」と喜んでいたら、後になって急激に修繕積立金が上がるということもよくあるお話です。
長期修繕計画書とは
長期修繕計画書とは分譲マンションを長持ちさせるために管理組合が作成する長期的な修繕計画のことです。
一般的に30年程度の期間を対象として、マンションの外壁塗装工事、屋上防水工事、給排水管工事、鉄部等塗装工事などの各種の大規模な修繕をどの時期にどの程度の費用で実施するかを予定するものです。
各工事によって修繕をする周期が違っているので年度ごとに入ってくるお金(修繕積立金)と出ていくお金(工事費用)を予想して年度末に修繕積立金の残高が赤字にならないように修繕積立金を考えていかなければなりません。
一度に値上げとなると反対意見が多くなるので段階的に引き上げていく案を考えたり、将来はこれぐらいの金額になるという目安を立ててあげることができます。
ただし、これはあくまで予想シュミレーションですので、実際にその年になって工事をするのかしないのか、予算は予想よりも高いのか安いのかでまた長期修繕計画は変わっていきます。
なので5年ごとに長期修繕計画を見直すことが推奨されているのです。
マンションと区分所有者の高齢化問題
日本で最初の分譲マンションが登場してから70年近く経ちます。
今の日本のマンションの全体の2割近くが築40年以上のマンションです。
マンション自体も高齢化(老朽化)していますが、住民も同じように年月を経て高齢化しています。
建物の修繕費用がかさむ一方で、年金暮らしの住民が増えていき、修繕積立金の回収が追いつかず管理不全に陥るケースも登場してきています。
マンションも人間も終活を考える
昔はマンションが老朽化するということがあまりイメージされていませんでした。
それはなぜかというと、マンションは人の住み家としては通過点のようなイメージだったのです。
自分が住む家は、初めは賃貸アパート→賃貸マンション→分譲マンション→戸建て住宅という、
最後はやっぱり持ち家一軒家!みたいなイメージをお持ちではありませんでしたか?
分譲マンションは通過点だったので、そこが老朽化することや、高齢者の問題に悩むということがあまり考えられてこなかったのです。
しかし、時代の変化とともに今はマンションが終の住み家となったわけですね。
そうなるとマンションにも寿命があるということを理解しないといけません。
「自分が死ぬまではこのマンションは大丈夫だろう」というなんの根拠もない思い込みでいるといざというときに慌てることになります。
メンテナンス次第では自分の寿命よりも先にマンションの寿命が来てしまうこともあります。
昔は人が死ぬときのことを口にするのはタブーな時代もありましたが、今は自分がこの世から去る時のことを前もってきちんと考えておく「終活」という言葉が使われる時代になりました。
それと同じようにこれまであまり考えてこなかったマンションの終わり方(終活)を考えていく時代になったのかもしれませんね。
マンションの終活の実例
私が管理しているマンションのひとつに築44年のマンションがあります。
建築当初から10数年周期できちんと大規模改修工事を行い、悪くなった部分があればすぐに直し、今まで大きな事故もなく来ています。
ただこれから先の修繕費用がどんどん大きくなっていくのでどこまでこのマンションをもたせるのかという話し合いを始める時期に来ました。
再来年4度目の大規模修繕工事を行う予定ですが、そのまた先の大規模修繕工事を行うとなると修繕積立金の改定しか道はありません。
ご高齢の区分所有者さんが多いので「年金暮らしなので無理」というご意見も多数です。
それならば4度目の大規模修繕工事でこのマンションの大きな修繕は終了となります。
その後はお金がある分で工事をする。
ない場合はどうしようもない。
冷たいですが、これが現実です。
築50年になったらこのマンションが60年になったときにどうしていくのか話し合う。
建替えをするのか、売却するのか。
この問題は難航するとても難しい議案になるので話し合い期間10年を見越しています。
どちらも無理、死ぬまでこのマンションに住んでいたいと思うならば修繕積立金を上げるしか方法がないのです。
どういう選択をするのかは区分所有者の話し合い次第です。
「マンションの終活を考える時間を与える」
これがこのマンションの理事会が出した答えでした。
今はこの議案について動いている最中ですが、私にとっても初めての議案になるので全力でサポートさせていただきたいと思っています。
まとめ
- 修繕積立金はみんなの話し合い(総会)で決まるものなので、納得いくまで話し合いをすることが大切である。
- 修繕積立金は長期修繕計画の見直しで変わるので、工事周期や実際の費用で都度修正していく必要がある。
- 毎月引き落とされているのは修繕積立金と管理費で、修繕積立金とはみんなの貯蓄額である
- 修繕積立金の金額があがるのは、長期修繕計画書に基づいたシュミレーションを考慮して、計画的に積み立てていくためのきちんとした理由がある。
人間も建物も永遠じゃないもんね
終わりを考えるって想像できないけど考えなきゃいけないんだね
ソボちゃんもそろそろ終活を考えなきゃ・・・
ヒマゴピーに会えるまでを想定して考えておくね(笑)
にほんブログ村