マンション管理会社のフロント歴25年の私が、今後一番不安視しているのは「マンションの廃墟化」です。
実際に私が管理している「Oマンション」も築年数44年を迎えて真剣にこの先どうしていくのがベストなのかと考えています。
「廃墟化って何?」
「私が住んでいるマンションが廃墟になるなんて考えられないわ」
そう思われている方も多いと思います。
しかし「廃墟化」は、どのマンションでも可能性があるって知っていましたか?
こんなことがきっかけで廃墟化は進んでいきます
- 空き室が増えたとき
- マンションの所有者が行方不明になったとき
- 修繕積立金が不足したとき
- 災害によって建物が壊れてしまったとき
今回は「マンションの廃墟化」について解説します。
このブログはまだ未完成です。
なぜなら私がまさに今、「マンションの終活」について動いているからです。
マンションの終わりが来たときに初めてこのブログは完結します。
それまで「マンションの終わりをどう迎えていくのか?」を調査して管理組合とともに動いてレポートしていきますのでぜひお読みください。
マンションの廃墟化が進む背景とは?
日本の都市部では、高度経済成長期に沢山マンションが建てられました。
そのときに建設されたマンションが老朽化し、その多くが放置され、廃墟化していく状況が問題視されています。
ここでは、マンションの廃墟化が進む背景について解説します。
高度経済成長期に建設されたマンションの老朽化
1955年~1972年の高度経済成長期にマンションが流行しました。
初期のマンションは築年数60年を超えています。
またその後も1990年代のバブル経済の影響を受けてマンションが大量供給されました。
そのマンションたちもそろそろ築30年が過ぎてきています。
所有者の放置や適切な修繕の費用負担の問題
老朽化が進んだマンションは、修繕や改修工事に多額の費用が必要です。
しかし所有者が負担することができず、放置されたままになることがあります。
また、管理組合の運営がうまく回らず修繕積立金不足に陥ってしまって修繕ができないまま放置されるマンションもあります。
人口減少や高齢化の影響
日本では、少子高齢化問題が進んでおり、マンションを所有する若年層の減少や単身世帯の増加が進んでいます。
このため、過剰に供給された高経年のマンションの需要が少なく、放置されることが増えています。
自然災害による被害
日本は外国に比べて地震、台風、大雨、大雪、土砂災害、津波被害、火山噴火と自然災害が発生しやすい国です。
自然災害によって建物が倒壊したり、被害を受けた場合に、修繕に必要な費用が膨大になることから、修繕できないまま所有者が放置してしまうことがあります。
廃墟化の原因とは?
高齢化に伴うマンションの空き室化
子供が独立し、高齢になった夫婦2人で住むマンションが増加しています。
また、高齢者の親が亡くなると、相続されるマンションが空き室になることが多くあります。
このような空き室が放置され、廃墟化してしまうことがあります。
相続したことを本人が「自覚」していないケースも増えています
経済的理由によるマンション所有者の放置
マンションの所有者が経済的な理由によって、修繕や改修に必要な費用を捻出できない場合、放置されることがあります。
また、相続によってマンションを所有したものの、相続税を払うことができなかった場合にも放置されることがあります。
とにもかくにも「放置」が一番の原因です
マンションの管理組合の問題
マンションの管理組合は、修繕や改修などの費用を修繕積立金として積み立てています。
しかし、修繕積立金の値上げを反対する人が多いなどの理由で、必要なお金が積み立てられていない場合があります。
その時になってからの所有者の負担が大きくなりすぎたり、管理組合自体が問題を抱えている場合、修繕や改修が遅れ、結果的に廃墟化してしまうことがあります。
雨漏りが直せなくて人が住めなくなった事例があります
廃墟化を防ぐためにできることは?
定期的なメンテナンス
マンションの老朽化による損傷や劣化を防ぐために、定期的なメンテナンスが必要です。
管理組合は、建物の検査や修繕の計画を策定し、適切な時期に修繕を実施することで、建物の寿命を延ばし、廃墟化を防止することができます。
健康に長生きするためには人間ドックが必要な人間と同じです
住民の意識改革
マンションの所有者には、建物の維持管理に対する意識改革が必要です。
管理会社に任せていれば安心ではありません。
最近では「マンション管理会社側から」手に負えなくなったマンションの管理委託契約を解除するケースも増えてきています。
マンションの管理の主体は「管理組合」=「区分所有者」一人一人であることを意識することが大切です。
住民が建物の維持管理に関心を持ち、積極的に管理組合や管理会社と協力することで、修繕や改修の遅れを防止し、廃墟化を防止することができます。
マンションの管理は誰かがやってくれると思うのではなく
自分がやるものだと自覚するのが大切です
新たな活用方法を考える
廃墟化が進んでしまったマンションでも、新たな活用方法を見つけることで、再利用することができます。
例えば、マンションの一部をリノベーションし、シェアハウスやコワーキングスペースとして利用する。
ホテルなどに転用するなど、新しい活用方法を考えて建物を再利用することを考えるのも一つの方法です。
みんなの意見をまとめるのは難しいですが
新しい利用方法でマンションを生き返らせるのはとてもいいですね
実際に廃墟化したマンション事例の紹介
日本国内で実際に廃墟化したマンションの事例を紹介します。
写真引用元:日経クロステック
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/na/18/00006/040400064/
美和コーポ(滋賀県野洲市)
1972年に建設された鉄骨3階建て9部屋のマンション。
雨漏れがひどく住めなくなり2010年ごろから次々と住民が引越していき住む人がいなくなりました。
なぜ雨漏りを修理できなかったかというと修繕積立金が不足していたのか、そもそも積み立ててなかったという噂もあります。
高齢者ばかりだったので一時金の徴収もできなかったのでしょう。
2018年6月の大阪府北部地震で県道に面した南側の壁はすべて崩れ落ち、鉄骨や部屋の中がむき出しの状態になりました。
3階廊下の柵や2階天井が崩落し、階段も腐食が進みました。
周囲の人から「危険なのでどうにかしてほしい」と要望がありましたが、当時の区分所有者はすでに亡くなっており、現在の所有者で話し合いをすることになりました。
しかし、相続によって「自分が知らない間に所有者となっていた」所有者もいるのです。
所有者9人のうち2人に連絡が取れない状態で解体の話し合いも進まない状況で長い間放置されていましたが、2020年、行政執行により取り壊しが行われました。
野洲市は1世帯あたり約1300万円の支払いを求めています。
まとめ
上記の事例からもマンションを廃墟化させてしまうと近隣地域に迷惑をかけます。
何より何も知らずに相続した子供に迷惑をかけることがあります。
マンションの解体費用には莫大なお金がかかりますので、相続してしまった子供の人生を破滅させてしまう可能性もあるのです。
マンションを廃墟化させないために大切なことは
- 定期的な点検とメンテナンスの実施
- マンションを管理しているのは自分たちであるという自覚
- 修繕積立金の定期的な見直し
そのときになって慌てないように早い段階から所有者全員で話し合うことが何よりも大切です。
廃墟化させたくないなら今から動きましょう
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