マンション管理会社のフロント歴25年の私が、今一番気になる話題が「マンションの終活」です。
実際に私が管理しているマンションも築年数44年を迎えて真剣にこの先どうしていくのがベストなのかと考えています。
マンションは強固な建物、住めなくなるなんてまだまだ先の話。
「死ぬまでここに住めると思ってますけど?」って考えてるあなたに是非考えていただきたい問題なのです。
このブログはまだ未完成です。
なぜなら私がまさに今、マンションの終活について動いているからです。
マンションの終わりが来たときに初めてこのブログは完結します。
それまで「マンションの終わりをどう迎えていくのか?」をレポートしていきますのでぜひ一緒に考えてみてください。
区分所有建物とは一つの建物に構造上区分された数個の住居や店舗などが存在する建物のことです。
皆さんがよく知ってる分譲マンションもこの「区分所有建物」となります。
一つの建物を多くの人で維持管理しながら生活をしていくので、そこにはさまざまな決まり事を作り、管理していかなければなりません。
そこで区分所有者(分譲マンションを所有してる人)全員で「管理組合」を構成します。
マンションの終活には、この「管理組合」が超重要なんです
マンションの終活とは?
「マンションの終活」とは、マンションを長く安全に住み続けるために、管理組合や住民が行うべき取り組みのことです。
「終活=人間がこの世を去るときのためにやっておくべきこと」の話は昔はタブーとされていました。
特にお年寄りにそんな話をすると「ワシが死ぬときのこと考えてるとはけしからん!」みたいなお叱りを受けたこともあったかと思います(笑)
「おじいちゃんが亡くなったあと大変なのは私ら子孫なんだからわかってよ~」みたいな・・・話です(笑)
人間の終活については現代人の理解もあり、かなり進んできてるかと思います。
しかし、マンションの終活はどうでしょう?
なんとなくマンションは強固な建物だから、自分が死ぬまではずっと住み続けられるような気がしていませんか?
マンションも物質なのでいつかは壊れます。
朽ち果てていくのです。
建物としての寿命があり、老朽化によって住みにくくなったり、修繕費用がかさんだりして、廃墟化してしまう恐れがあります。
そのため、マンションに関してもきちんと「終活」を考えていくことがとても大切なのです。
なぜ今、考える必要があるのか?
マンションは、時間とともに建物の劣化が進みます。
現在、築40年以上のマンションは115.6万戸(マンションストック総数の約17%)10年後には約2.2倍の249.1万戸、20年後には約3.7倍の425.4万戸になる見込みです。
引用元:国土交通省築後30、40、50年超の分譲マンション戸数
マンションの【歴史編】でもお話したとおり1980年~2000年の間に爆発的に増えたマンション。
初期に建てられたマンションたちがどんどんと築40年を過ぎてきてるのです。
マンションも高経年になると、防水効果が弱まり、雨漏りや水漏れ、躯体の劣化、エレベーターなどの設備の老朽化や故障、給排水管の腐食などによって、住みにくい状態になることがあります。
また耐震性や防火性などの安全性にも問題が生じることがあります。
そのような問題を解消していくためには非常に多くのお金が必要となるのです。
マンションは、修繕が必要な個所が出てくると、それを修理するための費用が必要になります。
それに対して、住民からの修繕積立金が不足することがあることが大問題なのです。
不足してるからといって、いきなり「一戸につき200万円徴収しま~す!」と言っても出せない人がいます。
なので長い時間をかけて少しずつ積み上げていくのです。
それには「今からの話し合い」が必要なのです。
マンションの修繕積立金の値上げは本当に大変!
マンションの「管理組合」とは?
「マンションの管理組合」とは、所有するマンションの「所有者全員」で管理や運営を行うために「設立する組織」です。
管理組合は「建物の管理」「修繕」「清掃」「防災対策」など、所有者たちの共通の利益を守るための業務を行います。
管理組合を率先して運営していく「理事会」の役員は、所有者のうち、議決権を持つものが出席して行う「総会」で選出されます。
管理組合は、所有者から共同管理のための費用として、「管理費や修繕積立金」を徴収します。
マンションを購入したら自動的に「管理組合の一員」ですよ
マンションの「管理組合」の役割とは?
マンションを安全に快適に住み続けるためには、管理組合が適切な運営を行うことが不可欠です。
管理組合が担う主な役割は、以下のとおりです。
マンションの「管理・運営」
管理組合は、マンションの管理・運営に関する業務を行います。
具体的には、「長期修繕計画の策定」「修繕工事の管理」「清掃や保安業務」など。
それらを建物の知識があまりない輪番制の役員でやっていくには大変な責任となるので管理会社に業務委託をするのです。
なので実質的には管理組合は管理会社が行う業務をチェックすることが主な仕事となっています。
私は管理会社のフロントとしてこの業務を委託されています
マンションの「住民との調整・交渉」
管理組合は、「住民との調整・交渉」を行います。
住民からの要望や苦情に対応するほか、マンションの問題や改善点についての意見を収集し、適切な対応を行います。
実際は管理組合に連絡せずに
住民の皆さんは管理会社に連絡してきます
マンションの「会計・財務管理」
管理組合は、「会計・財務管理に関する業務」を行います。
具体的には、管理費・修繕積立金の徴収や支払い管理などです。
こちらも管理会社に業務委託していることが多いので管理組合は管理会社が提出する資料のチェックが主な仕事となります。
「銀行の通帳は管理会社、印鑑は役員さん」という風に
勝手にお金を引き出せないようになっています
マンションの「ルールの策定・運用」
管理組合は、マンションのルールの策定や運用に関する業務を行います。
具体的には、住民に対する規約や規則の説明や周知、ルール違反に対する指導・監視などが挙げられます。
規約の変更には区分所有者数と議決権個数の3/4以上の賛成が必要です
マンションを長持ちさせるために必要なマンションの管理・運営業務とは?
マンションに長期間安全で快適に住み続けるためには、管理組合が適切な管理・運営業務を行うことが不可欠です。
築年数が40年を過ぎてきた中年期のマンションに必要なマンションの管理・運営業務を紹介します・
定期的なメンテナンス
人間でも40歳を越えると定期的に健康診断や人間ドックを受けますよね。
それと同じでマンションの定期的なメンテナンスは建物を長期間安全に住み続けるために欠かせません。
管理組合は建物の点検や修繕計画の策定を行うことで、建物の老朽化を防止し、住民の安全を確保することができます。
また、中年期のマンションにおいては、建物の老朽化や劣化が原因でトラブルが発生することがあります。
例えば、屋根の雨漏りや壁の崩落、エレベーターの故障などが挙げられます。
これらのトラブルが発生すると、住民の生活に大きな支障をきたすだけでなく、修繕費用もかかります。
なので早期の対応ができるように定期的にメンテナンスを受けましょう。
適切な清掃・保安管理
マンションの清掃・保安管理も、マンションを長生きさせるために必要な業務の一つです。
適切な清掃を行うことで、建物の美観を保ち、清潔な環境で住民の健康・安全を守ることができます。
また、防犯カメラの設置やセキュリティの強化などの保安管理も住民の安全な生活を守る上で重要です。
終活のための管理組合の取り組みは?
この世に生を受けると、いつかは自分たちの老後や終活を考えることが必要になります。
それと同じように自分たちが住んでいるマンションの終活も考える必要があるということです。
一軒家の場合は、所有者が一人の場合が多いので何を決めるのも独断で決めることができるのですが、マンションの場合は区分所有者の数だけ考え方や意見があるので簡単ではありません。
急に「マンションの終活について話をしましょう」と言っても驚く人も多いです。
少しずつ皆さんの気持ちを一つにまとめていく必要があります。
「マンションにもいつか終わりが来ます」ということを周知していくには長い時間がかかります。
管理組合をまとめていくには先ず「理事会」がその考えになることが大切なのです。
マンションの終活に向けた計画立案
私が管理している「Oマンション」は築44年を迎えました。
例に出す「Oマンション」とは私が実際に管理しているOLDマンションです。
- 1979年竣工
- 1棟20戸の団地型マンションが敷地内に2棟(合計40戸)
- 大阪府の郊外の駅近物件
- 間取りは2DK
- 5階建て(エレベーターなし)
「Oマンション」は毎年4人の役員さんで理事会を運営しています。
しかし、区分所有者のほとんどが高齢の女性の一人暮らし。
役員は輪番制なのですが、正直役員になっていただいても建物のことはわかっておられないし、全てを管理会社に任せていただいています。
しかし、今年は現役で働いていらっしゃる男性4人が回ってきました。
「ここで話をしないと前に進まない!」と思った私は動きました。
しかも、この4人の男性はご自身が住んでいるのではなく「収益物件」としてマンションを貸されているオーナーさんです。
マンションの資産価値の話や、終活の話についてすぐに理解してくださいました。
そしてこのままのらりくらりとした管理・運営ではいつか大変なことが起きると思ってくださり修繕積立金の変更について考えて下さることになりました。
長期修繕計画の策定
マンションの修繕積立金を変更するには「みんなの反対」という高い壁があります。
「修繕積立金を値上げしないとヤバイよ、大変なことになっちゃうよ」ってことをわかってもらうためにはきちんとした資料が必要だということで、長期修繕計画書を作成してもらうようにお願いしました。
(長期修繕計画書についての詳細はまた後日)
完成した「長期修繕計画書」を見たところ、どうにもならない現実にしばし呆然です。。。
必要な工事、省ける工事を選んでなんとか4つのパターンを形にしました。
これを臨時総会にかける予定です。
住民参加型の終活活動
住民とのコミュニケーションの重要性
マンションの終活を進める上で住民同士のコミュニケーションは非常に大切です。
一軒家の場合でも家を処分するときは家族みんなで話し合うのと同じです。
ましてや一つの建物を複数の他人同士で所有しているのですから、それだけでもややこしいのがわかります。
なるべく和やかに話し合いをしていくためには普段からの交流でどんな人がこのマンションに住んでいるのかを知っておくこともとても大切なのです。
住民参加型のイベントや活動の実施
コロナ禍で人が集まるイベントなどは全て禁止になっていましたが、少しずつ解放されています。
お祭りのようなイベントは難しいと思うので、防災訓練などで住民同士が触れ合えるようにするというのも一つの案です。
「Oマンション」では毎年火災予防訓練を行っています。
実際に消防署から職員さんに来てもらい、通報、避難、消火の訓練を行います。
消火器の使い方などで住民さん同士が会話していたりすると、いい事だなと思います。
みんながマンションを災害や事故から守る気持ちが芽生えることはとても大切です。
そして住民の生の声を聞き、要望や意見を取り入れることで、住民の生活をより良くすることができます。
また住民との信頼関係を築くことでトラブル解決やルール遵守にもつながりますので住民参加型の活動は非常にオススメです。
終活に向けた今後の取り組み
「Oマンション」は一カ月後に修繕積立金の値上げに関する臨時総会を開きます。
その案内文を作成しています。
理事会では何度も話し合っていますが、マンションの管理に無関心な住民さんにはまさに「寝耳に水」状態だと思います。
なので理事会の皆さんも「いかに皆さんにショックを与えず理解してもらって賛成をいただくか」の話し合いを進めていらっしゃいます。
細心の注意をはらって文章を作成していくつもりです。
またその文章はこのブログに参考として掲載していくつもりです。
まとめ
「マンションの終活」には管理組合が大変重要な存在です。
またその「管理組合」の中から率先して判断して動いてくださる「理事会」がかかせません。
マンションの役員は輪番制のところが多いので、難しいとは思いますが、ここぞというタイミングで理事会に働きかけることで一気に話が進むことがあります。
そして何よりも住民さん同士のコミュニケーションが大切です。
他人といえども同じ建物を所有する仲間ですから、みんなで幸せになる選択をしてほしいです。
少なからず私も「Oマンション」の管理を委託されている管理会社の担当フロントとして、そのお役に立てるようにこれからも勉強していきますし、その経緯をブログに残して後に続く高経年マンションの参考になれば嬉しく思います。
マンションの終活を考えて廃墟化マンションを撲滅しましょう!
日本人ならばきっと良い方向に進んでいってくれると
希望を持っています
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