「マンションの終活」は「管理組合(区分所有者全員)」が主体ですが、マンションの「管理会社」との協力が非常に大切であるといえます。
私はマンション管理会社のフロントとして25年、マンションの管理に関わってきました。
今からどんどん増えていく高経年のマンションを廃墟化させないためにできることを、マンション管理会社目線からも考えていきたいと思っています。
いつかこのレポートが沢山の方の
役に立てることを願っています
マンションの終活とはなにか?
マンションの終活の定義
年数が経つと高経年のマンションと共にマンションの所有者も高齢化しています。
そんな高齢の親からの相続などによってマンションを相続したものの、空き室のままで放置することも。
修繕積立金が不足してもお金を出せない所有者が増えることで管理が行き届かなくなることも。
管理されず放置されたマンションはいずれ廃墟化していきます。
「マンションを最後にどうしたいのか?」
そのことを話し合って行動していく区分所有者全員の取り組みを「マンションの終活」といいます。
マンションは複数の他人で一つの建物を所有しています
とにかく「全員で話し合うこと」が大切です
マンションの終活が重要な理由
マンションの終活を行うことで、以下のようなメリットがあります。
① 廃墟化や老朽化を防止し、安全・安心な居住環境を長く維持することができる。
② 話し合いによってそれぞれの意見を出し合って、より良い選択をすることができる。
③ マンションの未来を決めれば、自分の人生の未来も決められる。
以上のような理由から、マンションの終活は大変重要な取り組みといえます。
自分では思いつかないことも
沢山の人と話すといい案が出てくることもあります
管理会社の役割とは?
管理会社とマンションの終活について
マンションの終活において、管理会社は以下のような役割を担います。
- 修繕・改修工事の計画・実施
- 定期清掃・保守管理の実施
- 建物の瑕疵や不具合の確認・修繕の対応
- 住民間のトラブル解決・調停
- 生活環境の改善や住民の安全確保の提供
特に、マンションの終活においては、管理会社が積極的に取り組むことで、建物の老朽化や住民間のトラブルを未然に防ぎ、話し合いをスムーズなものにすることができます。
管理会社に期待できること
管理会社には、以下のようなことが期待ができます。
- 適切な計画・予算立案
- 維持管理の徹底と継続的な改善
- 迅速かつ丁寧な対応
- 住民の視点に立った提案・施策の実施
- 住民とのコミュニケーションの円滑化
「マンションの終活」においては、管理会社と住民が一体となって取り組むことが重要です。
管理会社に期待するだけでなく、住民も自主的な取り組みを行い、「マンションの終活」をより良いものにしていきましょう。
マンションの管理の主体は「管理組合」です
でも管理会社がいることでサポートが受けられます
管理会社の選び方
管理会社選びのポイント
マンションの終活においては、適切な管理会社を選ぶことが非常に重要です。
現在の管理会社が当てはまっているかチェックしてみてください。
以下に、管理会社を選ぶ際のポイントを紹介します。
① 信頼性の高い会社であること
信頼性の高い会社を選ぶことで、安心できる管理サービスを受けることができます。
会社の信頼性を確認するためには、過去の実績や業界での評判を調べることが大切です。
② 専門的な知識と経験を持つスタッフがいること
マンション管理には専門的な知識と経験が必要です。
管理会社には、そのようなスタッフがいるかどうかを確認することが重要です。
③ 管理委託料が適正であること
適正な管理委託料の管理会社を選ぶことが大切です。
管理委託契約書の詳細と管理委託料をしっかりと確認しましょう。
④ 顧客サポートの質が高いこと
問題が発生した場合、管理会社が迅速に対応し、解決することが求められます。
そのため、顧客サポートの質が高い管理会社を選ぶことが大切です。
何か起こったときに迅速に動く管理会社は
安心できますね
管理会社とのコミュニケーションの大切さ
「マンションの終活」において、管理会社とのコミュニケーションは非常に重要です。
管理会社に対して要望や相談をすることで、マンションの終活をスムーズに進めることができます。
また、管理会社との良好な関係を築くことで、トラブルの予防にもつながります。
ここでは、管理会社とのコミュニケーションがもたらすメリットを紹介します。
コミュニケーションがもたらすメリット
①要望や相談ができる
管理会社とのコミュニケーションを取ることで、自分たちの要望や相談を伝えることができます。
「長く維持したい。建て替えたい。取り壊して解散したい。」
どの選択をするにしても専門家のアドバイスが必要です。
正直「それ、業務範囲外ですよね?」と思うことがあっても普段からのコミュニケーションがあれば、アドバイスをしてくれることもあります。
まさに「今」良いアドバイスができるよう
マンションの終活について勉強しまくっています
②「管理費・修繕積立金」の未徴収の予防ができる
管理会社とのコミュニケーションを密にすることで、「管理費・修繕積立金」の未徴収の予防につながります。
「管理費・修繕積立金」の未徴収は督促をしても支払われない場合は、一定期間を過ぎると管理会社の手からは離れます。
それまでにいかに一生懸命徴収してくれるかは担当者の力量にかかっています。
決められたとおりに督促状だけを出すのか、しつこく電話連絡して徴収するのかは正直、担当者がどこまで頑張るかで変わります。
私は今まで修繕積立金も
管理費も水道代も
未収にしたことはありません
必ず徴収します!(笑)
③情報の共有ができる
管理会社とのコミュニケーションを通じて、管理会社の意見や情報を共有することができます。
たとえば、地域の情報、補助金や法律に関する情報を共有することができます。
「マンションの終活」において、普段からの管理会社とのコミュニケーションは非常に多くのメリットがあります。
管理会社側も住民のみなさんからの情報で
助かっていることも多いのです
管理組合と管理会社の関係性
「マンションの終活」に関しては、管理組合と管理会社の信頼関係が非常に大切です。
両者間は「管理委託契約」で結ばれています。
昔は、管理組合からお仕事をいただく管理会社のパワーバランスとしては「管理組合>管理会社」でした。
しかし、ここ数年、これが崩れてきているのです。
大手の管理会社が管理業務を受託する一部の管理組合に、「管理委託契約の更新辞退申し入れ」というタイトルの文書を社長名で送付しました。
そう、管理組合からではなく管理会社側からの契約解除の申し入れです。
時代が変わりました!
解約の申し入れは、管理組合、管理会社の双方から行うことが出来ます。
相手方に対し、少なくとも3ヶ月前までに書面で解約の申し入れをすれば契約は解除できるのです。
理由としては、人手不足・人件費高騰・不採算(儲からない)物件の増加です。
このニュースはこれまで『どんな案件でも抱えていないといけない。管理組合の無理な要求にも応じないといけない』とする風潮があった管理業界に一石を投じました。
NPO法人マンション管理支援協議会(東京都)の調べでは、ある大手財閥系管理会社は2021年4月~22年3月の1年間で、約3万7000戸の管理を打ち切ったといわれています。
背景には、管理人や清掃員の人件費などが高騰しても、管理委託費の値上げを組合側に受け入れさせることが簡単ではなく、管理委託業務だけでは十分な利益を得ることが困難という事情があるようです。
一方、管理会社の担当者が住民側に無理難題を突きつけられる『カスタマーハラスメント』も増えています。
夜中にクレーム処理に追われたり、怒鳴りつけられたり、長時間のお説教をうけることもあるそうです。
私も朝の4時に電話で起こされたことあります
業界は担当者不足に陥っており、こうした理不尽な行為が契約先の『選別』につながっていることも知っておく必要があります。
「人手不足、人件費高騰、不採算物件の増加」これらの背景は、今後も変わらず、深刻化すると思います。
ある日突然、管理契約更新辞退の申し入れを受けることがあなたのマンションにも起こるかもしれません。
そうならないため、そうなっても困らないために、管理会社に丸投げでなく、自主的運営を目指して、マンション管理組合、マンション管理会社、両者が協力して運営を行うことが必要です。
大きな問題はみんなで協力しなければ解決できないのです
「マンションの終活」【管理会社編】のまとめ
「マンションの終活」は、「マンションを最後にどうしたいのか」を区分所有者全員で話し合って行動していく取り組みです。
高経年になったマンションを少しでも長く維持するのか、建て替えるのか、取り壊すのか。
どの選択をするにしても「管理会社」とのコミュニケーションを円滑にし、共同で取り組むことが重要です。
マンションの終活を成功させるために、今すぐ行動を起こしましょう!
管理会社の社員も人間です
担当しているマンションを良くしたい気持ちを持っていますよ
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