賃貸物件に生活保護者の
人から相談があったんだけど
どうしようかな?
賃貸物件の空室に悩まされていませんか?
長い間、次の入居者が決まらないと、家賃収入も減ってしまいますよね。
空室が長引くのは避けたいね
そんなときに生活保護を受けている方からの入居相談が来て少し戸惑っていませんか?
なんとなく「大丈夫なのかな?」と不安になる気持ちよくわかります。
実は、生活保護者に賃貸住宅を貸すことには多くのメリットがあります。
しかし、それにはデメリットも存在します。
実際に生活保護受給者の方に家を貸している筆者の経験から、生活保護者に賃貸住宅を貸した場合のメリットと、考慮すべきデメリットについて詳しく解説します。
この記事ではこんなことがわかります!(知りたい所をクリックするとジャンプします)
実際にお貸ししている私が
詳しく解説しますね
生活保護者とは?
生活保護者とは、経済的に困窮し、自力で最低限度の生活を維持することが困難な人のことです。
生活保護の対象となる人の特徴
具体的には以下のような特徴があります。
生活保護は世帯単位で行われ、受給者は国が定める最低生活費の基準で暮らすことが保障されています。
ただし、自立促進が目的であるため、特に働ける状況にある人には厳しい指導や処分がなされることがあります。
最低生活費の具体例
生活保護における最低生活費は、世帯構成や居住地域によって異なります。
一般的には単身世帯の場合、月額10万円〜13万円程度の生活保護費が受給できます。
これは生活扶助と住宅扶助の合計額です。
最低生活費の具体例
- 東京都八王子市に住む40代単身男性の場合、約132,300円(生活扶助78,600円 + 住宅扶助53,700円)
- 愛知県名古屋市に住む70代の高齢者夫婦の場合、約161,160円(生活扶助117,160円 + 住宅扶助44,000円)
- 千葉県千葉市に住む30代女性と小学生の2人世帯(母子家庭)の場合、約195,180円(生活扶助115,690円 + 住宅扶助49,000円 + 母子加算20,300円 + 児童養育加算10,190円)
最低生活費は、食費や光熱費などの生活に必要な費用を保障する生活扶助と、住居確保のための家賃を保障する住宅扶助の合計額で算出されます。
地域や世帯人数、年齢などによって金額が変動するため、個々の状況に応じて計算されるのです。
一定金額ではありません
生活保護受給世帯の増加
厚生労働省の最新のデータによると、2024年1月時点で生活保護を受給している世帯数は1,652,163世帯となっています。
これは前年同月と比べて7,094世帯、つまり0.4%増えています。
また、2024年1月の生活保護申請件数は20,154件であり、2023年の年間申請件数は25万5079件に達しました。
これは2013年以降で最も多い数字です。
受給世帯の内訳は、高齢者世帯が55.0%、単身世帯が51.0%を占めています。
これは日本の高齢化や
単身世帯の増加を
反映してるといえますね
生活保護受給世帯数は年々増加傾向にあり、新型コロナウイルスの影響や物価上昇が原因とされています。
しかも今後の日本では高齢化と結婚をしない単身者が益々増えると予想されるため、生活保護受給世帯も増える確率は高いといえるでしょう。
それであれば賃貸住宅をお持ちの大家さんは生活保護受給者に入居してもらうことも視野に入れておく方がいいです。
でもなんか心配だな
では生活保護受給者の
メリットとデメリットを
お話しするね
生活保護受給者に家を貸すメリット
生活保護受給者に家を貸すことは以下のようなメリットがあります。
生活保護受給者に家を貸すメリット
- 安定した家賃収入の確保
- 長期的な入居の可能性
- 空室対策になる
- 社会貢献につながる
安定した家賃収入?
①安定した家賃収入の確保
生活保護受給者に入居してもらうと家賃滞納のリスクが低減します。
生活保護受給者は、家賃の一部または全額を国からの補助金で支払ってくれるからです。
この補助金は、公的機関から直接大家に支払われることが多く、安定した家賃収入を確保できます。
それなら安心だね
公的機関が直接振り込んで
くれるのは助かるね
②長期的な入居の可能性
生活保護受給者は安定した住まいを求めており、長期的な入居を希望するケースが多いです。
これにより、空室リスクが減少し、安定した収益を見込むことができます。
長く住んでくれると
改修費用が浮くね
長く住んでもらえるのは
有難いね
③空室対策になる
生活保護受給者を入居者として迎えることで、新しい層が入居者候補になってきます。
特に会社の移動や学生の移動シーズンである繁忙期(2月~4月)以外の時期にでも入居を希望する方も多いので、閑散期でも入居者を確保して空室対策になります。
春を逃すと1年くらい
空室になるから困ってたんだ
どのタイミングでも入居して
もらえるのは助かるね
④社会貢献につながる
生活保護受給者に住まいを提供することは、大家としての社会的な役割を果たす重要な行動です。
これにより、経済的に困難な状況にある人々が安心して生活できる場所を確保でき、地域全体の福祉が向上します。
こうした取り組みは、地域社会の安定と発展にもつながります。
地域貢献できて安定して
家賃が入るならいいよね
ただしデメリットもあるので
しっかり頭に入れておいてね
生活保護受給者に家を貸すデメリット
生活保護受給者に家を貸すことは以下のようなメリットがあります。
生活保護受給者に家を貸すデメリット
- 支払遅延や家賃未納
- 連絡が取りにくい場合がある
- 行政とのやりとりが増える
- 家賃に制限がかかる可能性がある
①支払遅延や家賃未納
生活に困窮している方が多いので家賃滞納や金銭トラブルのリスクがあります。
生活保護の代理納付制度を利用し、家賃の一部を行政から直接受け取る仕組みを構築することが大切です。
公的機関から家賃を
直接振り込んでもらうには
手続きが必要です
②連絡が取りにくい場合がある
生活保護受給者の方がご病気の場合は連絡が取りづらい状況が出てきます。
定期的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築いたり、ご家族の連絡先や福祉のサポートを得ることも必要です。
電話を持っていない方も
いらっしゃいます
③行政とのやりとりが増える
行政とのやりとりが増えるので家主にとっては手続きが煩雑になる可能性があります。
行政の係りの方としっかり連絡を取り合えると安心ですね。
行政の人と協力するのは
大切です
④家賃に制限がかかる可能性がある
住宅扶助の上限額が地域によって定められているため、家賃設定に制限がかかる場合があります。
大家が希望する家賃と合わない場合も出てくる可能性があります。
この金額以上は無理という
制限があるので
了承できるかですね
実際の事例紹介
現在、私がお貸ししている生活保護受給者の方のお話です。
途中で生活保護受給者になった方
入居する時は生活保護受給者ではなく母子家庭の方として50000円で賃貸契約をしました。
しかし、途中でお母さんがご病気の為に生活保護受給者になられたのです。
このように途中で入居者の状況が変わる可能性もあります。
その時に家賃の値下げ交渉が入りました。
なぜならばこの方の住宅扶助の金額が47000円だったからです。
3000円の値下げだね
正直、3000円も下げるのは悩みましたが、この先も安定して家賃収入が入るのならばと了承しました。
なぜならこの物件は築年数も古く設備や間取りも昔のものなので、空室になると次の入居者が中々決まらないと思ったからです。
ありがたいことにこの入居者さんはこの部屋を気に入ってくれていて、真面目な性格の方だったので滞納はないだろうと信じて了承しました。
実際に今まで約10年間
一度も家賃の滞納は
ありません
逆にお部屋を気に入って下さっているので
「私は死ぬまでここにいたいのです。ご迷惑はおかけしませんのでお願いします」
と言われました。
そこまで言われたことと、近くにご家族もいらっしゃるようなので孤独死の心配もないと信じてお貸ししているのが本音です。
精神的な疾患をお持ちの方
生活保護受給者の中には精神的なご病気の方もいらっしゃいます。
人と関わるのが苦手でお家から出られない方で被害妄想をお持ちの方の場合は少しややこしいです。
家賃の振込は公的機関からなので問題はありませんが、気分が沈んでしまっているときなどは家のアレコレが気になり始めるようで連絡をして来られます。
「では一度気になる箇所を見せてもらえますか?」とお約束をして業者さんと約束の日時に行っても居留守をつかわれてしまうこともあります。
結果的に中には入れず何も出来ないまま時間だけが過ぎている方もいます。
ご高齢の方
ご高齢の方の場合は大きな問題やクレームはほとんとありませんが、一番心配なのが孤独死です。
ご家族が近くにいる方なので安心はしていますが、ときどき水道検針などで水道が利用されているかチェックしたりしています。
水道が動いていないときはこちらから連絡をして確認する場合もあります。
長期入院などされるときはご一報いただくように約束をしておくと安心です。
ちょっと心配になるよね
賃貸経営は事業でもあるので
お金をいただくためには
少しは自分も動くのが
当たり前と思ってやってるよ
入居後のトラブルと対策
生活保護受給者の方に家を貸すときに考えられるトラブルとその対策を知っておきましょう。
家賃滞納の対策
生活保護を受けている方は生活が厳しい状況にあるため、家賃を滞納するリスクがあります。
そのリスクを避けるために、代理納付の申請をすることをおすすめします。
代理納付とは?
代理納付とは、生活保護を受給している方の家賃を、公的機関から直接大家さんや管理会社に支払う仕組みです。
代理納付の申請は賃借人(生活保護受給者)が行います。
契約は、生活保護受給者に代理納付による家賃支払いについて同意を得た上で、契約書に以下の事項を盛り込んでおくと安心です。
- 代理納付による家賃支払い: 「家賃は代理納付により支払うものとする」と明記します。これにより、受給者と大家さんの双方が支払い方法を確認できます。
- 代理納付の中止申請をしない: 「代理納付の中止申請をしないことを確認する」と記載しておくことで、途中で代理納付が中止されるリスクを減らすことができます。
これにより、家賃の滞納リスクをさらに低減し、安定した賃貸契約を維持することができます。
さらに、生活保護受給者の中には働いている方もいます。
その場合、住宅扶助が全額支給されないことがあり、代理納付をしていても一部の家賃が滞納される可能性があります。
そういった場合に備えて、保証会社の利用も検討しておくと良いでしょう。
念には念をだね
孤独死への対策
生活保護を利用する高齢者の場合、孤独死のリスクも考慮しなければなりません。
入居者が亡くなった場合、発見までに時間が経過した場合には、次のような問題が生じる可能性があります。
- 特殊清掃費用: 発見が遅れると、特殊清掃が必要になることがあります。この費用は高額になる場合があります。
- 事故物件としての影響: 事故物件として扱われることにより、新しい入居者を見つけるのが難しくなることがあります。
これらのリスクに備えるため、家主型孤独死保険に加入しておくこともおすすめします。
家主型孤独死保険とは?
孤独死保険は、賃貸住宅での孤独死によって生じる損害を補償する保険です。
保険料は月額300円程度のものが多いです。
以下のような補償を受けられます。
- 清掃・消臭作業費(特殊清掃)
- 遺品整理費用
- 原状回復費用
- 空室や家賃引き下げによる損失などの家賃保証費用
この保険は孤独死のリスクに備えるだけでなく、物件の価値維持や家主の経済的負担軽減にも役立ちます。
単独での短期保険または火災保険の特約としても加入できます。
選択する際は、補償内容や保険料を比較検討することが重要です。
孤独死保険なんてあるの
知らなかったよ
近隣トラブル対策
生活保護受給者に限りませんが、ゴミ問題や騒音などで近隣トラブルが発生する可能性があります。
しかし、借地借家法に基づく賃貸借契約は借主保護の観点が強いため、特別な事情がない限り、大家さんから一方的に契約解除を求めることは難しいです。
そこで、定期借家契約を活用してみると良いでしょう。
定期借家契約とは?
定期借家契約とは、賃貸借契約で定めた契約期間が満了すると更新されず、契約が終了する賃貸借の形態です。
主な特徴は以下のとおり。
- 契約期間が明確に定められており、期間満了時に自動的に契約が終了する。
- 契約期間は自由に設定でき、3カ月や半年など1年未満の短期契約も可能。
- 契約更新はないが、貸主と借主の双方が合意すれば再契約が可能。
- 契約書とは別に、貸主は借主に対して契約の更新がなく期間満了で終了することを書面で説明する義務がある。
- 一般的に普通借家契約に比べて家賃設定が低いことが多い。
定期借家契約を活用することで、自動更新をしない契約内容にすることができます。
これにより、トラブルが頻発する方に対しては契約終了時に退去を求めることができます。
一方、トラブルを起こさない方については、契約終了後に再度契約を結ぶことも可能です。
これにより、良好な入居者には引き続き住んでもらうことができます。
入居しないとわからないもんね
これだと安心だね
このように、定期借家契約をうまく活用することで、トラブルを未然に防ぎ、大家さんと入居者の双方にとって良好な環境を維持することができます。
お互い迷惑をかけずに
上手にお付き合いできると
いいよね
まとめ
賃貸経営において、空室の発生は代表的なリスクです。
物件が古くなるほど、そのリスクは高まります。
お金をかけてリスクを回避する方法もありますが、必ずしも空室が埋まる保証はありません。
視点を変えて、生活保護受給者など、住宅の確保が必要な方を入居者として受け入れることで、家賃収入を安定的に確保し、社会貢献にもつながります。
もちろん、生活保護受給者の特徴や注意点を理解した上で受け入れを検討する必要がありますが、お金をかけない空室対策の一つとして、検討する価値は十分にあるのではないでしょうか。
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